ヘリのローター音が静寂を切り裂いている。地上に立つクロ○が、ヘリに乗っているザマンリ○に尋ねる。
「逆に教えてくれ、ザマンリ○。お前ほどの猛者が、なぜ実況解説をやっているんだ？」
ザマンリ○はため息をつき、窓の外を見ながら低く答えた。
「俺も昔は猛者として鳴らしてたさ。だが、ウォーズマ○との戦いで思い知らされたんだ。戦いの怖さってやつをな。リングに戻れるくらいには回復したが、もう二度と戦いたくねえ。だが……金は必要だ。そんな時に今回の実況解説の仕事が転がり込んできたってわけだ。」
クロ○は、口元で皮肉な笑みを浮かべる。
「戦いが怖くなった男が、戦いを語る役か……。」
その言葉にザマンリ○はムッとし、声を荒げた。
「無名レスラーのお前に何がわかる！ 俺の痛みも、恐怖も、お前には理解できまい！」
クロ○は肩をすくめ、軽く笑う。
「なら、俺の代わりにこのペシミマ○と戦うか？」
ザマンリ○は言葉を失い、拳を固めるだけだった。その様子を見ていたペシミマ○は、嘲笑を浮かべる。
「なるほどな。口ではいくらでも言い繕えるが、お前はただの臆病者だ。戦士としての無能さに悲観するだけで、自分で始末をつける度胸すらない。」
ペシミマ○は腕を組み、氷のように冷たい声で続けた。
「だが安心しろ、ザマンリ○。俺がその無様な人生に幕を引いてやる。どうせそこのクロ〇同様、お前らもあの世行きになるんだ！」
ペシミマ○は手をかざし、周囲の磁場を操る。ヘリの機体が突然軋みを上げ、激しく揺れ始めた。操縦士が必死にコントロールを試みるも、機体は制御不能に陥り、真っ逆さまに落下を始める。
「うわ～、落ちる～！」操縦士が叫ぶ。落下する機体へ向かっていくクロ○のシルエット。そして轟音と共に、ヘリは荒地に不時着。衝撃で土煙が立ち込め、視界を完全に奪った。
地上でその光景を眺めるペシミマ○は、冷たく笑った。
「あんな無能を助けるために死んだか…。愚か者だ。」
しかし、徐々に煙が晴れると、崩れたヘリの残骸から動く影が見えた。そこには、ザマンリ○を肩に抱えながら立ち上がるクロ○の姿があった。
「……」無言のペシミマ○。クロ○は静かにザマンリ○を降ろし、ペシミマ○を睨む。
「無能かどうかを決めるのはお前じゃない。お前にはわからないだろうがな。」
